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井木事務所 京都の司法書士コラム

武富士 会社更生法申請後に過払い金を返還する方法

Q 武富士が会社更生法の申請(更生手続開始申立て)をしました。今後どのような手続きをすれば過払い金は返還されますか?

申請日以後は、会社更正法の申請以前の方法で、過払い金を返還してもらうことはできません。請求することも、裁判することも、差押えなどの強制執行の手続きをすることもできません。申請と同時に、裁判所から保全管理命令が発令されているからです。

それでは、どうすればいいのか?

会社更生法の手続き内で、返還してもらう必要があります。武富士の発表では、公正手続き開始決定から4ヶ月以内に債権届出期間が設定されるとのことです。そうすると、来年の平成23年の1月~3月頃になるのではないかと思われます(今後の情報を注意深く見守る必要があります。)過払い金返還請求権を有する者は、債権者ですので、この債権届出期間に、自己の過払い金債権を届け出れば、その存否、額について認否手続きを経たうえで、更生債権として確定し、それをもとに、更生計画に従って、過払い金が返還されます。

届け出た過払い金債権の全額が返還される可能性は、限りなくゼロに近いでしょう。更生債権者は、更生計画案の弁済率(配当率)に従って、平等に弁済を受けることになりますので、例えば、過払い金が100万円で、配当率が10%ならば、10万円が弁済されることになります。野村證券が発表した武富士の予想弁済率は数パーセントということです。

実際に弁済が開始されるのは、武富士の発表した目安によれば、平成23年の終わりから平成24年以降にずれ込みそうです。

なお、債権届出の書式については、武富士のホームページや、電話案内などで、取り寄せ可能になるのではないかと思いますので、今後の情報に注目しましょう。もちろん適宜の書式でも問題ありませんが。

追記:平成23年2月18日 → 武富士 過払い金債権の弁済率

追記:平成23年5月7日 → 武富士 弁済率の予想

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武富士 会社更生法申請は倒産と同じ?! 過払い金はどうなる?!(2)

前回の記事 武富士 会社更生法申請は倒産と同じ?! 過払い金はどうなる?!(1)

の続きです。

Q 過払い金は返還されますか?

昨日見ていたフジテレビ系列のニュースでは、過払い金は返ってこないかのような報道がされていました。本当にそうでしょうか?!

過払い金の返還手続きは、①取引履歴の開示→②利息制限法上限利率による引き直し再計算→③裁判により過払い金請求(または示談=任意交渉による請求)→④和解または判決→⑤相手方の任意の支払い(または差押え・強制執行)という手順になります。

武富士は、会社更正法の開始決定以後は、法令により、一般債権者(この場合過払い金請求者)に対して、支払いをすることができません。つまり、過払い金を返したくても返せない状況になります。

差押え、強制執行も停止になります。つまり、開始決定以後は過払い金は返ってこないことになります。

ところが、武富士は、債務超過であっても(報道では4300億円の債務超過とされています)、財産がゼロではないのです。

貸付債権=財産 は、数千億円規模で残っていますし、その他の現預金や不動産などの財産が何かしら残っています。

それらの財産は、会社更正法の手続きの中で、管財人により換価され、債権者(もちろん過払い金債権者も含まれる)に平等に配当されます。

大幅な債務超過が見込まれるので、配当率は低いと思われますが、ゼロではありません。

たとえば、100万円の過払い金があった場合、配当率が10%であれば、10万円が、5%であれば、5万円が、配当手続きの中で、返還されます。

ということですので、武富士の会社更正法の配当の手続きに乗れば、いくらかの配当を得ることができます。そのために債権届出をする必要があります。

追記:10月4日

9月28日をもって、実際に会社更生法の申請がされています。今後の過払い金返還の方法、債権届出の方法はコチラの記事を→武富士 会社更生法申請後に過払い金を返還する方法

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武富士 会社更生法申請は倒産と同じ?! 過払い金はどうなる?!(1)

武富士が会社更生法を申請するとの報道が流れました。

武富士、更生法申請へ 過払い金返還重く 2010/9/27 2:30 日本経済新聞 電子版より

・経営再建中の消費者金融大手、武富士は26日、会社更生法の適用を

東京地裁に近く申請する方向で最終調整に入った。

この記事が報道されたのは、9月27日の未明、日経新聞の電子版です。27日の時点では、最終調整に入ったとあるので、この時点で既に会社更生法を申請したわけではありません。これからする方向である、という記事です。

一方で、武富士はこの報道をやんわりと否定しています。同日、武富士のホームページでは、「本日の一部報道について」と題するブリーフで以下の短い声明を発しています。

本日の一部の報道機関において、弊社に関しての報道がございましたが、

弊社が発表したものではございません。

また、弊社が報道されているような決定を行った事実もございません。

Q 武富士は、本当に会社更生法を申請するのか?申請するとしてそれはいつか?

この報道によって、武富士株は、東証の取引開始から売り注文が殺到し、一時取引停止となりました。会社の存亡に関わる重大報道であり、かつ日経新聞が報道していることからも(東スポが報道するのとはわけが違います)、相当程度信憑性が高いものと思われます。こんな報道がされるという時点で、申請は、月内ではないかと推測されます。本来ならば、このような大型の法的整理、倒産事件は、申請というか開始決定当日に報道されるのが通例です。”申請する方向で最終調整に入った”というような報道ではなく、”申請され同日開始決定された”と報道されることが通例なのです。会社更生法の申請を近々する方向という微妙なニュアンスの報道であれば、債権の保全や、資金の引き上げをすすめる債権者もいるでしょうし、各種方面で混乱が生じるのは必至で、他方、もう開始決定が出ましたという報道であれば、もう誰もどうすることもできない状態という違いがあります。通例ならば、会社経営陣のごく上層部と代理人弁護士、裁判所でXデーに向けて内密に最終調整して、申請と同時に開始決定がされ、それが報道されるはずです。そういう意味では、武富士のケースは相当例外だと言えます。27日に報道しなければならない特別な事情があったのでしょう。

他方、武富士はホームページ上で、これらの報道を否定するかのような声明をしています。これは、社内、取引先、関係者を考慮した発表ではないでしょうか。報道当日にも、数十万~数百万人規模の顧客は返済しているでしょうし(特に月末なので)、全国の裁判所では、武富士を相手方とした裁判がされています(私も明日、武富士の裁判期日が入っています)。社員も通常どおり業務をしているわけで(当然、社員には知らさせているはずがない)、それらの混乱を避けるための発表だと思われます。

そもそも、武富士の短い声明を検討すると、「弊社が発表したものではございません」→確かにそのとおりですし、「決定を行った事実もございません」→報道も最終調整中とあるとおり、決定はしていないということなので、やんわりと否定的なニュアンスの表現であるものの、報道の内容を完全否定しているどころか、報道と同じことを言っているととることもできます。混乱を抑えるという意味では絶妙な塩梅の発表ともいえます。

結論として、倒産関係の報道には特殊性があり、このような報道が公然とされ、その後も当事者および報道機関からも特に否定されていないことからも、9月30日まで、遅くとも来月中には、会社更生法の申請となるのではないでしょうか。

Q 会社更生法の申請は、倒産したということと同じですか?

Q 過払い金は返還されますか?

Q 現在、返済中ですが、会社更生法の申請となった場合、どうしたらいいですか?

Q 武富士はなぜ倒産状態に陥ったのですか?

2010/9/27 2:30
情報元
日本経済新聞 電子版
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国民健康保険料と健康保険税の違いと消滅時効

市区町村によって、国民健康保険料(税)が、保険料方式と保険税方式とで異なることをご存知でしょうか?

冒頭で、何気なく、「健康保険料(税)」という表現を使いましたが、これは、一般的によく使われる表現で、その意味は、「健康保険料又は健康保険税」ということだと推測します。

税金に準ずるものという意味で、市民をビビらすために(税)と付け加えているわけではないと思います(結果的にそういう心理的効果はあることは否定できませんが)。

というのも、市区町村は、保険料方式か保険税方式を自由に選択できるため(国民健康保険法76条)、居住している市区町村により、保険料又は保険税のいずれかとなるため、全体として(国民全体からみて)表現するには便宜、「健康保険料(税)」となるのだと思います。

さて。

保険料と保険税、私たち国民の側からみて、どっちがお得でしょうか(いきなり問題の核心に迫ります)?!

全国の市区町村では、保険「税」方式の自治体が多いと聞きます。

私が今までに居住したことがある市区町村は、すべて保険料方式だったと思うので、これは意外でした。

健康保険法によれば、保険料方式が原則で、保険税方式が例外とされているにも関わらず(国民健康保険法76条)、全国の自治体では保険税方式の方が多く採用されているということは、保険税方式が自治体にとって有利で、私たち市民にとって不利ということでしょうか?!

以下で検討してみましょう。

1 消滅時効期間が違う

・ 国民健康保険料 2年   ・・・ 根拠: 国民健康保険法110条1項

・ 国民健康保険税 5年   ・・・ 根拠: 地方税法18条

保険料方式を採用する自治体は、時効中断の手続き(徴収金の徴収の告知又は督促)をとらないと、納期限の翌日から2年で滞納保険料を徴収する権利を失います(時効期間の満了により消滅時効が完成)。※「時効中断」については、国民保健康保険法110条2項により、民法153条(時効の中断)の特則として規定されているので、注意が必要です。

ところで、市区町村は、保険料方式であっても、保険税方式であっても、保険料(税)の納付が延滞すれば、告知や督促の時効中断手続きをとり続けるので、2年であっても5年であっても、現実には、滅多に消滅時効が成立することはないと思われます。もちろんその3年の差で徴収率は若干は変わってくると思います。

他方、保険税の場合は、法定納期限から5年で消滅時効にかかります。

なお、地方税法18条2項によれば、「前項の場合には、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。」とあるので、この点については、保険料と異なります。国民健康保険料については、消滅時効期間が満了し、時効が完成したうえで、民法の原則どおり「援用」することが要件となっていますが(裏をかえすと時効完成後は時効利益を放棄することも自由)、保険税の場合は、期間の満了をもって、絶対的に消滅します。絶対的に消滅するので時効利益の放棄のしようもありません。この違いについては、法律専門職にとっては、興味深い内容ですが、市民にとっての損か特かの実益の違いは特にないでしょう。

2 優先順位が違う

後日アップします。

3 まとめ

何らかの権利、義務を有するということは、必ずといっていいほど、消滅時効の問題がつきまといます。医療報酬の消滅時効は?交通事故の損害賠償請求権の消滅時効は?友人に貸した借金の消滅時効は?そば屋のツケ代の消滅時効は?。。。。??

時効により権利が消滅して困る人(時効中断の手続きをお早めに!)、時効によりはやく義務が消滅してほしい人、どちらも京都の井木事務所にご相談ください(最後は宣伝でした)。

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