武富士が会社更生法を申請するとの報道が流れました。
武富士、更生法申請へ 過払い金返還重く 2010/9/27 2:30 日本経済新聞 電子版より
・経営再建中の消費者金融大手、武富士は26日、会社更生法の適用を
東京地裁に近く申請する方向で最終調整に入った。
この記事が報道されたのは、9月27日の未明、日経新聞の電子版です。27日の時点では、最終調整に入ったとあるので、この時点で既に会社更生法を申請したわけではありません。これからする方向である、という記事です。
一方で、武富士はこの報道をやんわりと否定しています。同日、武富士のホームページでは、「本日の一部報道について」と題するブリーフで以下の短い声明を発しています。
本日の一部の報道機関において、弊社に関しての報道がございましたが、
弊社が発表したものではございません。
また、弊社が報道されているような決定を行った事実もございません。
Q 武富士は、本当に会社更生法を申請するのか?申請するとしてそれはいつか?
この報道によって、武富士株は、東証の取引開始から売り注文が殺到し、一時取引停止となりました。会社の存亡に関わる重大報道であり、かつ日経新聞が報道していることからも(東スポが報道するのとはわけが違います)、相当程度信憑性が高いものと思われます。こんな報道がされるという時点で、申請は、月内ではないかと推測されます。本来ならば、このような大型の法的整理、倒産事件は、申請というか開始決定当日に報道されるのが通例です。”申請する方向で最終調整に入った”というような報道ではなく、”申請され同日開始決定された”と報道されることが通例なのです。会社更生法の申請を近々する方向という微妙なニュアンスの報道であれば、債権の保全や、資金の引き上げをすすめる債権者もいるでしょうし、各種方面で混乱が生じるのは必至で、他方、もう開始決定が出ましたという報道であれば、もう誰もどうすることもできない状態という違いがあります。通例ならば、会社経営陣のごく上層部と代理人弁護士、裁判所でXデーに向けて内密に最終調整して、申請と同時に開始決定がされ、それが報道されるはずです。そういう意味では、武富士のケースは相当例外だと言えます。27日に報道しなければならない特別な事情があったのでしょう。
他方、武富士はホームページ上で、これらの報道を否定するかのような声明をしています。これは、社内、取引先、関係者を考慮した発表ではないでしょうか。報道当日にも、数十万~数百万人規模の顧客は返済しているでしょうし(特に月末なので)、全国の裁判所では、武富士を相手方とした裁判がされています(私も明日、武富士の裁判期日が入っています)。社員も通常どおり業務をしているわけで(当然、社員には知らさせているはずがない)、それらの混乱を避けるための発表だと思われます。
そもそも、武富士の短い声明を検討すると、「弊社が発表したものではございません」→確かにそのとおりですし、「決定を行った事実もございません」→報道も最終調整中とあるとおり、決定はしていないということなので、やんわりと否定的なニュアンスの表現であるものの、報道の内容を完全否定しているどころか、報道と同じことを言っているととることもできます。混乱を抑えるという意味では絶妙な塩梅の発表ともいえます。
結論として、倒産関係の報道には特殊性があり、このような報道が公然とされ、その後も当事者および報道機関からも特に否定されていないことからも、9月30日まで、遅くとも来月中には、会社更生法の申請となるのではないでしょうか。
Q 現在、返済中ですが、会社更生法の申請となった場合、どうしたらいいですか?
Q 武富士はなぜ倒産状態に陥ったのですか?
- 2010/9/27 2:30
- 情報元
- 日本経済新聞 電子版
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