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武富士 弁済率の予想 - 負債総額と弁済率の確定時期

まずは、武富士の弁済率に関する昨日付けの2つの報道(1)と(2)を引用します。
以下、黒字は報道記事の引用、赤字は私のコメントになります。

(1)武富士の負債1兆5000億円=「過払い」債務で破綻時の3.4倍

時事通信 5月6日(金)13時1分配信

会社更生手続きを進めている消費者金融武富士の小畑英一管財人は6日の記者会見で、負債総額が1兆4949億円になったと発表した。昨年9月下旬の破綻 時に公表した4336億円の約3.4倍。借り手からの返還請求を受けて認めた「過払い利息」の債務が総額1兆3700億円に上ったことが大きい。
破綻時までに請求のあった過払い利息は1713億円だったが、昨年10月から4カ月間、改めて受け付けを行った。負債額には社債約926億円も含まれ る。一方、貸付金の減少で、返済原資となる資産が少なくなったため、最終的に戻って来る過払い利息は大幅にカットされる見通しだ。

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(2)武富士の過払い利息返還金、1兆3千億円に

読売新聞 5月6日(金)17時0分配信

会社更生手続き中の消費者金融、武富士の管財人を務める小畑英一弁護士は6日、過去に取り過ぎた利息として同社が顧客に返還すべき額が約1兆3700億 円になったと発表した。社債(926億円)などの債務を加えた最終的な負債総額は、昨年9月の破綻時の約4300億円から約1兆5000億円に増えた。

管財人団は7月半ばまでに債権カット率などを盛り込んだ更生計画案をまとめる予定だが、負債総額が巨額になったことで返還の原資が不足し、実際に支払われる過払い利息の返還額は請求額の5%以下になる可能性が強まった。

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昨日、武富士の管財人小畑英一弁護士の記者会見があったようで、会見の全文、要旨ともに不明ですが、この記者会見について注目すべき2つの報道が上記(1)、(2)の引用です。

次に、下記の(3)の記事は昨年9月28日の野村證券の予想です。

過払い金は少なくとも1兆円はあると予想した上で、弁済率を10%以下(「カット率は90%を下らない。」)としています。

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(3)武富士「債務弁済率は1けた」、会社更生法適用の申請で-野村証券

更新日時: 2010/09/28 13:55 JST ブルームバーグ

9月28日(ブルームバーグ):28日に東京地裁に会社更生法の適用を申請する消費者金融の武富士の債務弁済率は1けた――。野村証券はこう予想した。

野村証は27日付のリポートで武富士が更生法を申請した場合として、過払返還債権者が登録をして少なくとも1兆円の返還請求がある、と予想した。その上で 既存の有利子負債と合わせて「債権カット率が90%を下回ることは考えにくい」と指摘した。過払い金返還は一般債権(無担保借入など)と同順位の債権にな るとしている。

リポートを作成した魚本敏宏チーフ・クレジット・ストラテジストはさらに、他の消費者金融への過払い金返還要求の増加が不可避だと予想した。消費者金融の利用者は多重債務者が多く、手続きをする弁護士の勧めも含めて請求が増えるとの見方だ。また金融会社アプラスの親会社の新生銀行へのマイナスの影響も指摘した。

昨年10月28日のブルームバーグの記事(下記の(4))では、武富士の清算価値を想定元本の14.75%とする記事があり、この数字を根拠に15%くらいではないかという予想を、当時のインターネット上で見ることができました。

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(4)武富士のCDS、清算価格は想定元本の14.75%-過去最低に

ブルームバーグ 更新日時: 2010/10/28 21:27  JST

10月28日(ブルームバーグ):経営破たんした武富士を 対象にしたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の清算価格が想定元本の14.75%に決まった。武富士の清算を想定した債権の回収率の指標とも言 える清算価格は、過去の日本の清算事例の中で最も低くなり、武富士の財務状態が厳しいとみるCDS投資家が多いことを裏付けた。

CDSとは、企業が倒産した場合などを想定し、社債や融資などの焦げ付きをカバーするのが主な目的の金融派生商品で、購入者は手数料を支払って元本の保証 を受けることができる。9月下旬の武富士の会社更生法適用申請を受け、国際スワップデリバティブ協会(ISDA)が28日に清算価格を決める入札を実施し た。

入札を管理するクレディテックスとマークイットが28日ウェブサイトで開示した武富士CDSの清算価格は14.75%。仮想元本100円ごとに対して85.25円を保証主が購入者に支払って契約を終える。入札に至った事例では3月のアイフル(33.875%)、4月の日本航空(20%)に続く3例目で、水準は過去最低となった。

マークイットなどによると、入札に参加したのは、ゴールドマン・サックスやバークレイズ・キャピタルを含む金融機関15社。アイフルは私的整理に基づき上場を維持しながら、日航は更生法に基づき再建を進めている。武富士は29日に上場廃止となる予定。

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昨日の報道で最も注目すべき点は、武富士の負債総額がほぼ確定したという点です。

過払い金だけで1兆3700億円、過払い金以外の負債を含めると負債総額はおよそ1兆5000億円にのぼります。

(3)の昨年9月28日の野村證券の記事では、過払い金の負債だけで、少なくとも1兆円はあると予想していますので、今回の5月6日に判明した過払い金の負債は、昨年9月28日の予想よりも30%以上増加していることになります。

野村證券は過払い金1兆円の場合で、弁済率10%を下回ると予想しているので、実際には、過払い金が1兆3700億円だったので、過払い金だけの増加分を割り戻すと単純計算で弁済率は7.3%前後になります。もっともこれは昨年9月末の時点での野村證券の過払い金総額の予想と、本年5月に判明した実際の見込み額を基準に、単純化した数値であることをお断りさせてい頂きます。

また、返済の原資が減少しているということですの、実際には、7.3%よりも厳しい数字になるのではないでしょうか。

具体的には、(1)の記事で、弁済の原資が毀損していることを理由に、5%以下と言っているので、5%というのが一つの目安になると考えられます。

また、弁済率の確定する時期は、(1)の記事にあるとおり、7月半ばまでに再生計画案をまとめるとのことですので、7月中旬がめどになると考えられます。

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過去の関連記事

平成23年2月18日 投稿分 → 武富士 過払い金債権の弁済率

平成22年10月4日  投稿分→ 武富士 会社更生法申請後に過払い金を返還する方法

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