http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100908-00000019-maip-soci
自転車(bicycle)が加害者となる交通事故での最大の問題点は、加害者が自賠責保険に加入していないことです。
そもそも,自転車は自賠責保険に加入する義務もないし(単車と自動車は法令により加入義務がある),権利もありません(任意に加入したくても加入できないという意味です。)。
自動車保険の場合,当然に自賠責保険に加入していて,更にほとんどの場合は任意保険にも加入していいます。他方,単車の場合は,自賠責には強制加入ですが,任意保険には加入していないケースが多いと思われます。
それでは,自転車の場合は,どうでしょうか?
先に書いたとおり,自賠責にも加入できないし,任意保険に入っているケースもほとんど稀でしょう。
そんな時に,自転車で交通事故を起こし,加害者になって,損害賠償請求されたらどうなるでしょうか?!
損害賠償金は,保険から支払われることはありません!当然です。自腹で全額を支払うのです。
仮に死亡事故を起こした場合は?!
損害賠償額は,数千万円を下らないでしょう。一般人が一生かかっても返せない金額です。加害者の人生はもうめちゃくちゃでしょう。交通事故(不法行為)による損害賠償請求権は,破産しても免責されません。一生ついてまわるのです。
加害者の人生がめちゃくちゃになるのは致し方ない面があるとして,被害者の立場は?!
被害者の財産的,精神的な損害は償えるものではありません。
損害賠償の基本的な考え方は,精神的な苦痛を財産的な価値(お金,現金)に置き換えて,損害を賠償することにあります。
そのお金すら,支払われないとなれば,それはもう被害者だけでなく,残された遺族,関係者の人生をもめちゃくちゃにすることになります。
そのような意味では,自転車を運行する者は,すべからく自転車保険に加入すべきということになるでしょう。自転車運行によって,人を死傷させる可能性がゼロではない限りは。。。
こう考えると,法制度的は,自転車の自賠責保険の任意加入を認めるべき,という方向になるでしょう。
次に問題となるのは,仮に(フィクションとして)自転車が自賠責保険に加入できるよう法改正されたとして,交通事故の加害者が,上乗せ部分の保障である任意保険に入っているかどうかが問題になります。
人を死亡させた場合の損害賠償請求の金額は,一般的に自賠責保険でまかなうことができない大きさです。
冒頭のピストバイク愛好家(ひらたく言うと,競輪専用自転車で公道を走る人)は,人を死傷させる危険があるのだから,任意保険に加入しろ!という話になります。
ところで,大手損害保険会社は,現在,自転車専用保険の販売を取りやめているようです。市場が小さすぎるのです。
そこで,ニュース記事の核心部分を検討することになりますが,
ニュースの記事の事案は、加害者が、たまたま,クレジットカード付帯の個人損害賠償責任保険に加入していたため、上限額の5,000万円が保険から支払われたということです。
この事案で加害者が、クレジットカード付帯の個人損害賠償責任保険に未加入だったとしたら,加害者,被害者ともに大変なことになります。死亡慰謝料や逸失利益、後遺傷害慰謝料などの高額の損害賠償請求権を得たとしても、どこからも支払われないことになります。だから,悪意をもって解釈すれば,クレジットカードに加入しましょう,というのが記事の核心でしょうか?! 逆に,善意をもって解釈すれば,危険自転車運行者の最低限のマナーとして,保険に加入しましょう!あるいは,自転車の自賠責保険加入の法整備が急務であるという警告でしょうか。
このニュース記事の加害者は、クレジットカード付帯保険に加入していましたが、クレジットカードにこれらの保険が、必ず付帯しているかと言えば、そうではないのです。
旅行やショッピングなどの保険は付帯していることが多いのですが、個人損害賠償責任保険が付帯したいるカードは意外に少ないのが,インターネットをググるとよくわかります。私も契約しているクレジットカードを調べましたが,個人損害賠償責任保険は付帯していませんでした。
もしもの時に備えて、個人損害賠償責任保険に加入するか、当該保険が付帯するクレジットカードに加入しましょう!! > と書けばクレジットカード会社や損害保険会社の思うつぼでしょう?!
...仮に、保険加入を誘導させるニュース記事だったとしても、私は入ります(というか近日中に加入させて頂くことにします)。