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NHK受信料と支払督促

NHK受信料:滞納4世帯に督促 県内初申し立てへ /島根

毎日新聞 2010年9月3日 地方版 より以下引用

NHK松江放送局は2日、受信料を滞納している4世帯に対し、6日以降に松江簡裁へ支払い督促を申し立てると発表した。県内での申し立ては初めて。

同放送局によると、4世帯の平均滞納額は10万3000円、平均期間は4年8カ月。全国では956件(5月末現在)の申し立てがあり、そのうち782件(6月末現在)が支払い済みか支払う意思を示しているという。

(引用終わり)

こちらは島根県のローカル記事。

このニュースによれば、島根県のNHK松江支局は、”悪質”滞納者4世帯に対して、”これから”、支払督促を申し立てるらしい。

支払督促は、仮執行宣言が確定した場合には、「債務名義」となる(債務名義については前日の記事参照)。

この4世帯に対しては、これから債務名義を取得する手続きをとるため、現段階で強制執行することはできない。(前日の記事はすでに債務名義を取得しているケースで強制執行の実行段階に入り、それも終了しているケース、島根県のケースはこれから一からはじめるという違いがある。)

この支払督促という手続きは、非常にクセのある裁判手続きなので注意が必要である。

特徴

・ 支払督促命令の申立ては書面審理だけで書記官より命令が発出される(裁判官は関与しない)。

・ 相手方が異議を申し立てなければ、確定してしまい、その後仮執行宣言の申立ての手続きが終了すれば、それをもって債務名義になってしまう。
・ 裁判官ではなく、裁判所書記官が発出する手続きであり、実体的な審理をしない
・ 相手方が意義を申し立てれば、通常訴訟に移行(ステージを移す)する。
・ 裁判に比べて、手続きが簡易であり、費用も安い。
実務では、相手方が争う可能性が低い場合、あるいは争わないことを期待して、手続き選択されるケースが多い。
相手方が異議を出さなければラッキー、たとえ異議を出したとしても、通常裁判でじっくり争えばいい、そういうときに使い勝手がよい手続きです。
おもしろい実務例として、相手方に異議を出さないとの内諾を得た上で、この手続きを使うこともあります。
たとえば。。
「お前借金あるよな?それは認めるよな?だったら債務名義とるために支払督促の申立てをするから、異議ださんといてや。」
「あいよ!」
このようなやり取りがある場合です。
NHK松江支局の4件だけでなく、全国で958件の申立てがなされているそうです。(平成22年5月末現在)
この「支払督促」は法律の専門用語なので、日常的に使われる「督促」と区別する必要があります。判決に準ずる効力(おもに執行力)をもちます。
一般的な意味で使われる”督促”とは全く意味内容が違います。
手続きが簡易であるため、最近では、プロミスの債権回収会社であるパル債権回収が大量に申し立てていることで話題になりました。
もし、自分のところに、支払督促が来たら?!
→ 払うべきものであるときは、すみやかに支払うか、事情により支払いできないときは、債権者に事情を説明して、支払い方法について話し合いましょう。
→ 身に覚えがない場合や、反論がある場合には、異議の申立てをして、通常の裁判にステージを移して徹底的に争いましょう。
このニュースで、もう1点興味深い内容があります。
”4世帯の平均滞納額は10万3000円、平均期間は4年8カ月。”
NHK松江支局の場合は、5年前後の滞納で、実力行使に及んだということです。
このくらいの期間の長さと滞納額の大きさで、客観的に”悪質”滞納者と判断されたようです。

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